6月15日 はじめての体調不良

朝、完全な膀胱炎。尿の色がやばい。そして血混じり。それにちょっと熱っぽい。 とりあえず、朝ご飯の代わりに小さな丸いココナッツパンをアキオと半分こして、正露丸2錠をクワスで流し込み、様子を見る。

タクシー運転手のサーシャがいなかったので、パーキングまで徒歩。

大きな病院。日本の病院は、なんて無機質な雰囲気に作ってあるんだろう・・

荷造りゆっくり。出発は10時。うろこ雲は雨の予告って、ロシアでも同じかしら。でも、お天気は町ごとに違うから、確かめることはできない。

小さな町を訪ねるでもなく、何事もなく、ただ走り、1日が過ぎてゆく。冒険なんて、何もない。だけど、私は気がついた。私は空の色が何より好きだということ。今まで、「草木の緑」「海の青」「夜明けの花の色」などなど、好きな色はたくさんあった。たくさんあるということは、曖昧な自分を表しているような気がしてた。
北海道に似ているんだけど、私が見ているここの空は独特。この空を見ていて、自分が一番好きな色を知った。私は自分を知った。

ごくたまに、こういう場面もあります。

給油後の一服をしていたら、反対方向へ走るバイカー。私たちが大きく片手を挙げると、ぐるっと回ってこちらへ来てくれた。2014年12月から旅を続けているポーランドのPawel Glowienka。本物のモーターサイクルツーリスト。

「なになに?」って感じで様子を見に来たロシアの人。ロシアの女性は意外にも、黒髪&パッツン前髪の人が多い。流行ってるのかしら。感化されて、私も前髪カット。

日本の道路よりも真っ平らなアスファルトが所々に。写真を見てわかる通り、新しい道と古い道では、道の色が違います。道がきれいになるのは嬉しい。しかし、黒くなるのは少し悲しい。

青空と、白い雲と、その影と。楽園日和。

左側は反対車線。せっかちな車は、赤いコーンを破壊してでも追い越してゆく。前方を走るトラックはゆっくり走行。追い越しては給油中に追い抜かれ、また追い越しては追い抜かれ、3回ぐらい繰り返し。違う速度で走っていても、同じ道を走っている親近感。

そういえば、飛行機雲を見ていない。ロシアには飛行機雲がないのかもしれない。

自転車ツーリストが同じ方向へ走っている。アキオはバイクを停める。

ハバロフスクからモスクワまで走るロシアのディマ。スマホ片手に会話に四苦八苦。

ディマとお喋りしている途中、「今日は天気いいねー」と見上げると、飛行機雲!!
想った時に、想ったものに出会えるミラクル。

道の先は暗い雲。道路は穴ぼこゾーン。まるでゲームのように、ハンドルを右へ左へ、避けながら走る。マリオカートが好きだった私はテンション上がる。

穴ぼこも補修されてつつある。道の上のパッチワーク。

「P」という看板のある場所には、写真・左のものが設置されていることが多く、車の整備が出来るようになっている。

一日に何度も雨が降ったり止んだりするので、カッパは常に着用。そうすると、カッパを着ると革ジャンパーが邪魔になる。タンデムシートのお尻痛を軽減するために、ジャンパーを折りたたんで装着。なかなかいい感じ。というか、この革ジャンクッションがなければ私はギブアップしていただろう。感謝。膀胱炎も治ってる。

ホテルに泊まることばかりを考えると、夕日を見ながら走ることができない。今日は、日の入りを見てみた。

見た景色が写真に収まらない。それもこれも。地球の半分を二人ぼっちで無言で進み続けているような感覚。何も話さなくても、見ている景色の感動を共有できている。たくさんの景色は、パソコンのアルバムにではなく、私たち二人の記憶の中に。

この写真は、夕日が山の端に沈んだ午後10時頃。このガスステーションに併設されているガスティニィツァは雰囲気がよさそう。鶏が鳴いていて、お花が育てられていて、おばさんがのんびりと佇んでいる。(コロコリニ辺りだろうか)
「今日はここに泊まりたい」と私が言うと、アキオは「俺はモゴチャまで行きたい」と。
ウォッカで泥酔した翌朝に、深く反省しながら「これからは奈奈の言うことを聞く」と宣言していたアキオ。私は、言っても無駄なことはなるべく言わない。だから「わかった」とだけ言い返した。

いつもいつもいつも、後になって、アキオの欲が、私のミラクルを呼ぶ。



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